『ベヨネッタ3』から幻のプロジェクト『Scalebound』まで詳しく迫る!プラチナゲームズのツートップ稲葉敦志氏と神谷英樹氏にインタビュー

『ベヨネッタ3』は過去作もプレイすると面白さが加速する

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2022年の幕開けと共に、プラチナゲームズに大きな組織変更があった。第一線で開発現場を指揮してきた稲葉敦志、神谷英樹がそれぞれ社長・副社長に就任。新体制となり新たな一歩を踏み出していくという折に、プラチナゲームズを牽引していくふたりにインタビューを決行。『ベヨネッタ3』や『ソルクレスタ』、幻のプロジェクト『Scalebound』まで様々なプロジェクトについて話をうかがうことができた。本記事ではインタビューのトピックをかいつまんで紹介していく。全容はこちらの動画をチェックしてほしい。

地固めが終わり、プラチナゲームズは大きく羽ばたくステップへ

――社長、副社長への就任おめでとうございます。組織変更ではどのような点が変わるのでしょうか?

稲葉敦志(以下、稲葉):今回の組織変更の目玉は神谷副社長だと思います。「あんな人間を副社長にしていいのか」みたいな反応がネットニュースを駆け巡っていましたからね(笑)

神谷英樹(以下、神谷):いやいや、これからも品行方正に努めて参りますので。

稲葉:プラチナゲームズは設立から15年以上経っていますが、いろんな時期を経て、自社IPをパブリッシングするというところに向けて色々な準備をしてきたところなんですね。これまではその地固めをしていた時期でしたが、それが終わったので、あとは大きく羽ばたいていくだけの段階まできました。ということもあって、開発をずっと指揮してきた僕が会社全体を引っ張るのが一番パワフルな形になるだろうというのが組織変更の一番大きな理由です。

「新しくて面白い遊びを世に出していく、ワクワクする会社」というプラチナゲームズの原点に立ち返って、開発である僕と神谷がツートップになって、これから先のプラチナゲームズを引っ張っていこうという、シンプルでわかりやすい形にした感じです。

――ポジションの変更でプレッシャーに感じることはありますでしょうか?

稲葉:プレッシャー……これは僕の性格のせいかもしれないですけど、プレッシャーは感じないですね。立場が大きくなればなるほどやれることが増える、大きくなるのでワクワク感しかないです。

神谷:僕はこれまで自分のディレクションする作品1本に集中していくという感じだったんですが、体制変更によって自分のプロジェクト以外のものもクオリティのチェックをしたり、必要に応じてアドバイスを入れたりということが本格的にできるようになりました。なのでこれまでとは違った仕事の楽しさがあります。『プロジェクト G.G.』や未発表のプロジェクトまで幅広くみていて、楽しい日々になっています。

2月発売の『ソルクレスタ』はリリースへ向け、珍しく緊張感を感じている

『ソルクレスタ』

――発表済みタイトルである『ソルクレスタ』、『BABYLON'S FALL』、『ベヨネッタ3』についてそれぞれ聞いていけたらと思います。まず『ソルクレスタ』についてですが、生配信で公開された最新のゲーム画面をみて、9月のBitSummitで試遊した時から仕様変更がされたのかなと感じました。そのあたりはいかがでしょうか?

神谷:どこがどうと説明しきれないくらいに日々ちょこちょこ変更を入れています。過去に公開した動画と製品版として出たものを比べると、細かい部分などが変わっていて開発の推移に気づいてもらえるかもしれません。シューティングゲームというのは簡単なようで、ちょっとひねりを加えたりボタンを掛け違えるとまったく違う遊びになるので、どれがベストなのかというチューニングは日々やっていますね。

――リリース日は少し延期になってしまいましたが、具体的にどのような要因があったのでしょうか?

神谷:ステージやボスなど、なにか大きな仕様が入らなくて延期というわけではなくて、ひとつひとつの要素の磨き上げが足りずまだ粗い印象がありました。もうひと磨きしてツヤを出すという時間が欲しかったという感じですね。

――「ごめんなさい生放送」や「発売日決定会議」など、積極的に配信を行う姿勢が見受けられます。ユーザーとのコミュニケーションの方針はどのように考えていらっしゃるのでしょうか。

神谷:日々物議を醸すツイートやブロックをしまくってるツイッターとは矛盾しているかもしれないんですけど(笑)、ユーザーと近い距離で、ラフに対話したいなと思っています。特に自社IPだと自由にハンドリングできるので積極的にやっていこうよという流れにはなっていますね。

――海外の方にもかなり注目されていますよね。シューティングゲームファンとしては海外の人の勢いは無視できないと感じていますので、ぜひ海外ユーザーも巻き込んでほしいと思います。

神谷:海外の方にも注目していただいているのはありがたいですね。

先ほどプレッシャーを感じるかという話がありましたが、僕は自分の作ったものには自信があるので、普段のゲーム作りではプレッシャーは感じないのですが、今回の『ソルクレスタ』に関しては肌がひりひりするような緊張感があるんですね。

このシューティングゲームの界隈って、自分を含めてオールドスクールのゲームに対して深い・濃いこだわりを持っている方が多いような気がするんですよ。やり込んだ時の調整がどうとか、高い水準で評価されるということがあるので、今まで作ってきたゲームとは違う緊張感があります。「グラディウス」や「R-TYPE」などの歴史に名を遺す先人たちがビッグネームすぎるので、そこに続こうとチャレンジしたことに値する作品として受け入れてもらえるだろうかという怖さが今回はありますね。

新しい試みで開発面でも新鮮味のあった『BABYLON'S FALL』

『BABYLON'S FALL』

――続いて『BABYLON'S FALL』についてお伺いします。クローズドβテストを実施されていましたが、ユーザーの反応とそのうえで調整が決まったことなどはありますか?

稲葉:テストではポジティブなものもネガティブなものも含めていろんな反応をいただきました。開発チームもそれを素直に受け止めて、素早く改善をしています。クローズドβテストはこれまで僕たちがしてきたゲーム作りにはないプロセスでしたので興味深かったですし、すごく新鮮でした。

ネガティブな意見は開発側として気になりやすいですが、同じ要素に対して同じくらいポジティブな意見も見られます。なので、何を取捨選択していくのかというのはクリエイターとして大切な部分だと思いますね。『BABYLON'S FALL』はそのあたりをうまく取捨選択して、ゲームは良い形になっていっているんじゃないかなと思います。

――『BABYLON'S FALL』はプラチナゲームズのこれまでの作品とテイストの違う作品だったと思いますが、開発で苦労したポイントはありましたか?

稲葉:マルチプレイに関してはノウハウがなかったので苦労した部分ではあります。うちの得意としている爽快感のあるアクションとマルチプレイはそこまで相性がいいものではないので、そのバランスをとるというところは相当苦労しました。

ハック&スラッシュのゲームは個人的には好きなので、スタジオとして一度やってみたいなと思っていましたし、その先も変わらずチャレンジしていきたいなと思います。

『ベヨネッタ3』は過去作品を遊んでおくと面白さが倍増

――『ベヨネッタ3』の続報は多くのユーザーが楽しみにしていると思いますが、どのような体験が期待できますでしょうか?

『ベヨネッタ3』

神谷:答えられないことがほとんどですが、何年も音沙汰がなかったプロジェクトを最新映像という形でようやく出せたことはほっとしていますし、みなさんにも安心してもらえたのではないかと思います。

これまでの「ベヨネッタ」にはなかった要素がてんこ盛りというのは、動画を見てもらえれば分かると思います。それに対しては大いに期待を膨らませてもらって構いません。

稲葉:『ベヨネッタ3』はどれだけネタバレをしても、ありあまるほどの新要素があるでしょうね。

神谷:あともうひとつ伝えたいのは、『ベヨネッタ3』に関してはぜひ過去作品もプレイしたうえで遊んでほしいということです。1作目と2作目はどちらから遊んでも楽しめるようにシナリオを作りましたし、今回も『ベヨネッタ3』から始めたからといって話についていけなくなり、面白くないということは決してないです。でも過去作の『ベヨネッタ』、『ベヨネッタ2』を遊んでおくと面白さが加速すると確信しているので、ぜひ予習をして、来たる最新作に備えてほしいと思います。1作目と2作目を遊んでいないと、ちょっと勿体ないんじゃないかと思いますね。

アクションが苦手な人でも熟練のプレイヤーのように楽しめる仕組みを今回も用意しているので、安心していただければと思います。

『ベヨネッタ3』

――過去作品ではピーチ姫やサムス、リンクなどのコラボコスチュームが登場しました。今回もIPを使った遊び要素は考えていますでしょうか?

稲葉:僕たちのIPというわけではないので、今は「『ベヨネッタ3』をどう面白くするのか」ということに対してまっすぐ進んでいっています。

神谷:少し関連した話で、任天堂パブリッシングだから、などの理由で「クリエイティブの表現に制限がかけられているのではないか」という噂もありました。ですがそんなことは全くありません。

公開した動画の冒頭は、「一体何のゲームだ?」と思った人は多いと思うのですが、そう思えるくらい今までの「ベヨネッタ」とはガラっと変わっていると思います。『ベヨネッタ3』らしい顔があると思うし、新しい遊びも入っていますし、新鮮な気持ちで遊んでもらえると思います。

――溜めに溜めた作品で、Switchの普及台数も高まったタイミングでのリリースとなると思いますから、売り上げにも期待できそうですね。

新規IPの開発進捗や幻のプロジェクト『Scalebound』などに迫る

――次に完全自社IP「プロジェクト G.G.」について、何か進捗はありますか?

画像は公式サイトから

稲葉:ちょうど神谷と散々話をしていたところでした。プロジェクト自体は進んでいるんですよ。いやぁ……そうなんですよね……。面白いと思うんですよね~(どこまで話していいのか困惑しながら)

神谷:簡単に手触りを試すところまではできていますが、外面は整えていないのでみなさんにお見せできる状態までには至っていません。「プロジェクトで大切にしたい部分はこの方向で作り込んで大丈夫か?」という検証を進めていっているところですね。

稲葉:今年の年末くらいには続報を出したいと思っています。

――『The Wonderful 101: Remastered』や『World of Demons – 百鬼魔道』をセルフパブリッシュしてみて、どのような気付きがありましたか。

『World of Demons – 百鬼魔道』(2021)

稲葉:「The Wonderful 101」にしても「World of Demons」にしても、とりあえずやってみようと挑戦しました。メンバーはパブリッシングについて何も知らない状態でてんてこ舞いになりながらやって、その経験から得られたことはたくさんあります。そのうえで今年からはパブリッシングに対する体制ややり方をスケールアップしようと思っているので、アプローチも変わってくると思いますし、海外へのパブリッシングに対しても積極的に模索していこうかと考え中です。これまでのインディー感あふれるセルフパブリッシングから、もう一歩ステップアップした仕組みづくりに移っていくと思います。

――最近ですとマイクロソフトがActivision Blizzardを買収するなど市場に大きな動きがみられていますが、このタイミングだからこそ、以前開発中止となってしまったマイクロソフトとの協業タイトル『Scalebound』の再挑戦やセルフパブリッシュとして復活するなど考えていたりしますか?

稲葉:『Scalebound』に関しては神谷はずっとやりたいって言ってますよね。「いつか機会があったら~」のようなお綺麗な感じではなくて、神谷も僕も本当にやりたい。なのでマイクロソフトとちゃんと話し合いをしたいですよね。

神谷:結構な成果物はあって、あれはマイクロソフトが持っていたってしょうがないんだからなんとかしたいですよね(笑)Phil! Let's do it together!

――様々なタイトルについてお答えいただきありがとうございます。今後、作ってみたいゲームジャンルはありますか?

神谷:めちゃくちゃあります。稲葉は強欲で、「こういうのを作りたい」とどんどん投げてくるんですよ。僕もなにもないところからアイディアを出すというよりは、提案から刺激を受けてキャッチボールしながらさらに考えていくタイプです。それで面白そうなものは実際に企画書を書いてみるところまで進むことも結構あります。

稲葉:やってみたいゲームのジャンルの話となると、すでに着手し始めているというものもあったりするので、それを語っちゃうわけにもいかないし、ずらして話すのも違うし、ちょっとジレンマはありますよね。言えることは「むこう10年くらいのネタストックはあると思います」。


その後、ゲーム作りにおいてどんなことから着想を得ているかという話や、最近触れたゲームや映画の話、神谷氏がマーベルにハマっている話なども語られた。記事では長さの都合から触れられなかったものもあるので、インタビューの全容は動画もあわせてチェックしてほしい。そして2022年、さらに大きく動き出そうとしているプラチナゲームズに期待したい。

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ベヨネッタ3

PlatinumGames | 2022年10月28日
  • Platform / Topic
  • NintendoSwitch
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